※本記事には、若干のネタバレが含まれています。
今やめっきり少なくなったターン制ストラテジーシリーズの最新作、『戦場のヴァルキュリア4』。紆余曲折ありながら延命されて来たこのシリーズは、本作で完全に息を吹き返したと言って良い。
その魅力と言えば、1作目から堅実に引き継がれたゲーム部分は勿論、個性的なキャラクター達が織り成すストーリーは丁寧な演出が光る群像劇であり、多少突っ込み所もあったものの、全体的には笑いも涙も沢山詰まった大変面白いものだった。本記事では、そのハイライトシーンの一部を、なるべくネタバレを避けつつ御紹介させて頂きます。
今回はシリアス編を序盤、中盤、終盤に分けてお送りします。
2/2はこちら↓
序盤
E小隊による榴弾砲奪取を、自爆によって阻止した帝国軍兵士と、その最期を目にしてクロードが放った言葉。この言葉は物語の最後まで重くのしかかる事となる。
E小隊結成当初、クロードに猛反発していたラズとの友情が復活した瞬間。クロード以上にこの時を待ち望んでいたのは、ラズの方だったのかも知れない。
2章より。かつてラズに対してそうであった様に、クロードは戦闘指揮官の責任をもって、レイリィの信頼を取り戻そうとする。これ以降、痛ましい記憶によって隔てられていた2人の距離は、再建に向けて動き始める。
先走って突撃したラズと彼を庇って負傷したカイ。ラズがクロードを気にかけていた様に、彼もまた仲間によって見守られていた。
隊員断章「誇りと信念と過ちと」より 。支援兵レベッカのバッドポテンシャル「ラグナエイド温存」に秘められた悲しい理由が明かされる。
進駐先の帝国領内で出会った商人が、クロード達に送ってくれた祝辞。彼とは意外な形で再会を果たす事になるーーー。
中盤
中盤、進軍中にガリア方面へと侵攻する敵部隊を発見し、他の隊との合流を遅らせてでも今ここで叩く必要があると説くクロード。この後、その決断は間違いでは無かったが、決して正しかったとも言えない事を思い知らされる。
帝国軍第502戦車大隊隊長クラウス・ヴォルツ中佐。宿敵として何度も相見える彼こそ、帝国軍の数少ない良心と言える。
11章より。ラズの思いがけない言葉は、罪悪感で凍てついたカイの心を溶かした。溶けた心は涙となって、その眼に輝きを蘇らせた。
12章より。ラズの「突撃」に驚くカイ。いつもはラズの態度に鉄拳で応えていた彼女だが、この時ばかりは意表を突いたやり方で、彼を「ノックダウン」させた。
同じく12章より。アンジェを抱き締めるレイリィ。彼女が願った通り、アンジェは最後まで、自らの意志で笑顔を貫き通した。
帝国軍特務大尉フォルセ。全てをかなぐり捨ててまで彼が守ろうとしたものは、自らの計画によって大氷洋の藻屑と消えた。
連邦軍の切り札を目にして、怒りに身を震わせるクライマリア。あまりにも残酷なその「正体」は、彼女だからこそ知り得たものだった。
終盤
終盤、苦渋の決断に懊悩するクロードの背中を押したのは、他ならぬラズ自身だった。揺るぎない彼の信頼が、2人の友情を完成させた。
多くの者が願った平和への祈りは、希望の光に導かれた帝国の完全なる打倒と共に成就する。全てを終わらせる覚悟をしたクロードと、最後までそれを見届けようとするレイリィ。その覚悟は、直後舞い込んだ皮肉な朗報によって、大きく揺さぶられる事になる。
帝国軍のマッドサイエンティスト、ハインリヒ・ベルガー。亡き友と誓い合ったはずの夢は野望に変わり、その野望は自ら生み出した業によって報いを受けた。
クロードと同じく、多くの犠牲を払って戦い続けて来たF小隊隊長ミネルバ。「連邦VS帝国」の枠を超えた戦争の狂気を前に、彼女の意志はさらに強固になる。
帝国への怨嗟は悪夢を具現化させた。その罪を前にしても、レイリィは一歩も引く事は無かった。
燃え盛る炎に飛び込んだクロード。彼もまた、後悔を胸に誓いを果たそうとする。
戦いの果てに空を見上げるクロード。どんな時も、空は彼を導いてくれた。
2/2に続く。